2005年08月31日

御喜美江アコーディオンセミナー

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会社を2時間早く早退し、御喜美江さんのアコーディオンセミナーを聴きに行った。例題となる楽譜がバッハだったりモーツアルトだったり耳慣れない現代音楽だったり、会場にいる外人さんのために講義の半分はドイツ語だったりして、クラシックに不勉強な私は当初ビビッた。自分にはレベルが高すぎるかも場違いなところにきてしまったかも…と。

(1)エアーステップ
(2)天秤ステップ
(3)きく!
(4)間
(5)地平線
(6)指の鼓動
(7)線のスタッカート
(8)バランス

しかし、詳しく知らないクラシック曲でも、「普通にひいた場合」と「テクニックを使って弾いた場合」の差が歴然としているのはよくわかった。

もちろん世界の御喜美江さんなので「普通に弾く」だけでもうまいのだが、「テクニックを使って弾いた場合」は、すごかった。複雑な楽譜を彼女は、小鳥のさえずりのようにいともらくらくとナチュラルに弾くのだ。

そしてまた、途中途中で挟まれる参考映像や参考音楽がユニーク!チャップリンの「独裁者」だったり、ソフィアローレンの「ひまわり」だったり。「バランス」という不思議な短編だったり。

音楽を豊かにするためには、音楽だけにとらわれず、ありとあらゆるものから刺激を受け、想像力をたくましくすることなのだろう。

いろいろな参考資料の中で、一番、鮮明に残ったのは、ミルバが歌う「オブリビオン」。
ほんの短いフレーズの中にさまざまな思いをこめて歌う姿に釘付けになった。私は不勉強のため、初めて見たのだけれど、ミルバって、なんて歌唱力なんだろう。彼女のからだは演劇的ですらある。早速ミルバのCDを買ってじっくり聴いてみたい。

御喜美江さんは、このミルバの映像をすりきれるほど何度も何度もみては、ご自身の演奏の刺激にされたこともあるそうだ。

このアコーディオンセミナーを聴いたからといって、アコーディオンが上手になるわけではない。
大切なのは自分がそれを受けて、どうイメージを取り入れられるかだと思う。
このセミナーでみたこときいたこと感じたことを忘れず、イメージをふくらませて練習するようにしなければ。

2時間半のセミナーを聞いて、結局のところ、「日頃から様々なことを考え、演奏時はイメージすることが何よりも大事」ということだと思った。

それは頭ではわかるのだけれど、実際には一番難しいことだったりする…。
いまだにアコを気持ちよく歌わせてあげられない私。


 ↓ここから下はセミナーを聴講した時のメモ↓
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(1)エアーステップ
・ボールを飛ばすように。ふわっと膨らませる音の出し方。
・紙風船をぽーんと飛ばすようなイメージ。
■参考映像
チャップリンの「独裁者」で地球儀をぽーんと飛ばしているシーン。このボールのふわっと宙を浮遊するイメージ。

・音がごちゃごちゃたくさんある箇所は、そのフレーズごとエアーステップでまとめて包む感じにすると良い。

・細かいフレーズ等に気をとられて、のばす音をおろそかにしがちだけれど、実はのばす音が重要。一番長い音にイメージを与えると変化が生まれ、曲が生きてくる。


(2)天秤ステップ
・指をキーからはなすときの意識の重要性。
・キーを押すときには気を使っているのに、自分がキーからどんなふうに指を離しているかについて意識していない人が多い。バランスが大事。

(3)きく!
・「弾く」前に自分の音を「聴く」
・音を出す前に、自分がどんな音を出したいか、イメージすることが重要。
・例えば、ド+ミ+ソではなく、「CM」という音をきく。イメージする。
・強調したいフレーズ・好きなフレーズ・きかせたいフレーズをクレッシェンドしがちだけれど、そうするべきではない。しずけさがなくなってしまう。

(4)間(ま)
・最後の最後まで聴かないと結果がわからない、聴き手の興味をひくような間。
・ただ譜面通りだらだらと弾くのと違い、この次のフレーズで「間をとろう」と思うと、曲の中に(良い意味での)緊張感が生まれる。
・単にクレッシェンドをたくさん入れると、曲がわかりにくくなる。クレッシェンドしなくても、「間」をいれることでひきつけることができる。

(5)地平線(Horizont)
・音の地平線…実際には音はまだ聴こえてこないけれど、なんだか聴こえてくるような瞬間。その境界線。
・音が聴こえないところでも聴こうとすると聴こえてくるような気がする。
・空気と和音の境目がどこかわからない弾き方。
・空気で鳴るアコーディオンは、この「地平線」をおこなうのに最も適した楽器。

■参考映像
ソフィア・ローレンの「ひまわり」のワンシーン。このイメージ。
最初は画面一面黄色から、花と認識し、ひまわりと認識し…という流れ。

・休符をただの休みとしてとらえて弾くのと、楽譜上では休符でも「地平線」として、音がまだ続いているとイメージしながら弾くのとでは全く違う音色になる。
・「自分が変わる」
・シンプルな曲を弾くときに凝ったテクニックをしようとすると、素材が死んでしまう。そんなとき、この「地平線」を使うと良い。
・距離は全く変わらないのに、小さな音を聴くと、人間の耳は「遠くから」聞こえているように感じる。遠近法(パースペクティブ)。
・タテ(強弱)、ヨコ(音の長さ)は変えられないから、「地平線」は音楽をやる上で奏者が唯一自由にできる部分。「地平線」を行うことで、タテとヨコだけの世界から、3次元のものになる。


■参考音楽・参考映像
ミルバの言葉が段々ノイズに近づいていき、そこからまた言葉になっていく、その変化に注目!
ミルバとピアソラのビデオを鑑賞。ピアソラの演奏でミルバが歌う「オブリビオン」。


・どういう音を出していいかわからない時、「よいお手本」を聴いて想像することも大切。
(御喜さんもこのミルバの歌をよく見て刺激を受けたそうです)

(6)指の鼓動
・奇数はタテにエネルギー。偶数はヨコにエネルギー。偶数と奇数の組合せで指に鼓動を。
・バッハのフーガなど、最初長い音が続く曲は、速いテンポで弾き始めがちだが、そうすると後になって細かいフレーズが出てきたときに困ってしまう。
・ゆっくりした曲を弾くとき、どれくらいのテンポで弾いたらいいかわからない人は、最初3連符のテンポで弾いてみると良い。
・8分音符など指が走りがちだが、そういう箇所はひとつひとつの音をつぶだてて弾くこと。
それは指にエンジンブレーキをかけているようなイメージ。
・指に常に鼓動を与える。

■参考音楽
CD(曲名は失念)
(タカタカタカとエンジンの振動のようなメロディが続き、その後、長~くのびる音へと展開する曲。)

・音の長さの感覚。リラックスだけでは成立しない。力を入れている箇所があるから、力を抜く効果が出る。
・大きな流れの前に小さく細かいフレーズの対比。

(7)線のスタッカート
・すごく短い、熱いものに触れてしまった時のような鋭い短さでスタッカート。
・絶対に鍵盤から指を離さないことが大切。
・すごく短いスタッカート。音は切っても鍵盤は離さない。
・「線のスタッカート」は右手のメロディに表情をつけたいけれど伴奏には色をつけたくないときに左手に使うと良い。短い音でたくさん並べるときなどにもつかえる。

・すごく短いのに全体的にはなぜ線となってつながるのか→イメージの中に方向性があるから。
・水面のキラキラ光る白い部分。光るのは一瞬一瞬だけれど、全体としては、流れがある。そんなイメージ。

(8)バランス
・バランスが悪いと、どこか体が痛くなる。アコ奏者はひざのやわらかさが大切。
・自分がどうバランスをとってアコーディオンを弾いているか。
・直立したとき、ひざをゆるめると、体がやわらかくなる。
・大変優れた奏者はひざがやわらかい演奏をする。
(とはいっても、指やひざをやわらかくすることは過程の一つにすぎない。音をイメージすることが最重要。)


<まとめ>
・御喜さんの楽譜には、指つかいやベローづかいではなく、この8つのテクニックで構成される「音の設計図」が書き込まれている。
・「音の設計」これはどんな曲でもどんなタイプのものでも誰でもできること。
・8つのテクニックとはすなわち聴くこと、音をイメージすること、設計することの重要性。

■参考映像
短編フィルム「バランス」
http://media.putfile.com/balance/



posted by marie at 23:10 | TrackBack(0) | Accordion | 更新情報をチェックする

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